記事の構成はどうやって作る？現役のWebライターが丁寧に解説

記事の良し悪しは、構成でほとんど決まります。「執筆よりもむしろ構成に力を入れることで、SEO記事の成果が出やすい」というのが筆者の考えです。

この記事では、フリーのWebライターとして活動して何記事も上位表示させている筆者が、構成の作り方をどこよりも丁寧に解説します。記事を読んだあなたは、SEOに強く、読者ファーストな構成を作れるようになっているでしょう。

SEOで効果のある構成の作り方を知りたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

記事の構成とは？

記事の構成を理解するため、まず構成とは何か確認しておきましょう。記事の構成とは、一言で言えば「記事の全体図」です。どのような記事を作るのか、その骨格を示すものこそが構成です。

通常、SEO記事は「ロジカルライティング」という書き方で書くのが一般的となっています。ロジカルライティングとは、論理的にわかりやすい文章を書く方法です。

ロジカルライティングでは、記事の構成を「リード文」「本文」「まとめ」という3つの骨子から作り上げます。

各骨子で書く内容は、次の通りです。

• リード文…本文で伝えることを冒頭に書く
• 本文…記事の結論を、根拠や体験談などともに具体的に書いていく
• まとめ…記事の結論

この構成で記事を作り上げることで、読者は論理的に内容を理解でき、かつ知りたい情報を迅速に知ることができます。フリーのWebライターである筆者も、記事のほとんどをこの構成で作っています。

特にほかの意図がない限り、記事の構成はこの「リード文」「本文」「まとめ」の流れで作るようにしましょう。

ロジカルライティングとはもう1つ、感情に訴えかける「エモーショナルライティング」という書き方があります。一般的に広告やプロモーションなどで用いられる手法で、構成は上記とは異なります。ただ、エモーショナルライティングでSEO記事を書くことはほとんどないので、ここでは紹介しません。

記事の良し悪しは構成でほとんど決まる

フリーのWebライターとして多くのお客様に記事を納品してきた経験から申し上げると、記事の良し悪しは構成でほとんど決まります。

もちろん、読者にわかりやすいように執筆することも重要です。しかし、それ以上に記事の骨組みである構成がダメでは、どれだけわかりやすく書いても、読者に読まれることはありません。

読者は、何かしらの悩みやわからないことを解決するために、GoogleやYahoo!で検索しています。ユーザーが知りたいと思う情報がなければ、どれだけ丁寧に記事を書いたとしても、読者は離脱してしまいます。

検索意図に応えられる記事を作るため、何よりも読者ファーストな構成を作ることが重要です。

筆者は、記事の90%は構成で決まると思っています。それほどに、構成は大切なのです。

構成の作り方

それでは、構成の作り方について、次から解説していきます。ここでは、SEOとしての記事制作を想定して説明します。

①ペルソナを設計する

最初にやるべきは、ペルソナの設計です。ペルソナとは、自社の商品・サービスの対象となるユーザー像です。SEO記事では、記事の想定読者を指します。

ペルソナを設定しないまま書いた記事は、誰のために書いた記事かわかりません。ユーザーは、何かしらの悩みや知らない情報の解決を求めて、GoogleやYahoo!などにキーワードを入力しています。誰にも刺さらない記事に、意味はありません。

また、ペルソナを設計することで、読者が何を求めているのかを明確にできます。

ペルソナ設計時には、次のような項目を決めていきます。

ペルソナは、細かく決めすぎる必要はありません。たとえば、とある旅行会社のWebサイトであれば、次のような粒度のペルソナを設定します。

今回は説明の都合上、1人のペルソナしか設計しませんが、実際は1つのWebサイトでペルソナが1人のみになることは珍しいものです。基本的には、複数のペルソナを設計します。

なお、ペルソナは「自社の理想像」にしてはいけません。実在する顧客から決めるものです。そのため、既存顧客へのインタビューや社内のデータ分析などから、ペルソナを設計しています。

②キーワードを決める

Webサイトのペルソナを設計したあとは、キーワード決めです。キーワード選定については詳しく説明するとかなりのボリュームになるので控えますが、基本的にインフォメーショナルクエリに対して記事を制作するのが一般的となっています。

インフォメーショナルクエリとは「情報型」とも言われ、「情報を知りたい」「悩みを解決したい」といった意図を含むクエリのことです。たとえば「海外旅行 持ち物（海外旅行に必要な持ち物を知りたい）」「賃貸　選び方（賃貸物件の選び方を知りたい）」といったクエリが、このインフォメーショナルクエリに該当します。

今回、①で設定したペルソナをもとに、インフォメーショナルクエリ「海外旅行 初めて」というキーワードに対して記事の構成を作ることにしましょう。

③サジェストキーワードも洗い出す

メインとなるキーワード「海外旅行 初めて」以外にも、サジェストキーワードをチェックするようにします。サジェストキーワードとは、GoogleやYahoo!の検索窓にキーワードを入力した時に表示される、候補のキーワードです。

サジェストキーワードは検索ユーザーの需要を表すものであり、抽出することで、後に紹介する「検索意図の分析」の精度が高まります。

ただ、サジェストキーワードを手動ですべて洗い出すのは、現実的ではありません。そこで「ラッコキーワード」というツールを使うと便利です。

ラッコキーワードにキーワードを入力し「サジェスト（Google）」を選択すると、サジェストキーワードが一覧で表示されます。

実際に「海外旅行 初めて」のサジェストキーワードを洗い出してみると、次のようになりました。サジェストキーワードについては、検索ボリュームのあるものから優先して使うようにします。

④検索意図を分析する

ペルソナ、および抽出したキーワードから検索意図を推測します。検索意図とは、ユーザーが検索した目的です。

ユーザーは、何かしらの解決を求めて、GoogleやYahoo!にクエリを入力します。ユーザーの「知りたい」「悩みを解決したい」といった検索意図に応えるために、記事が存在します。

まずは、キーワードから検索意図を推測してみましょう。ユーザーの気持ちになって「なぜこのクエリで入力したのか？」を想像すれば、自ずと検索意図が見えてきます。

筆者は「海外旅行 初めて」というキーワードから、このような検索意図を推測できました。この検索意図を解決できるコンテンツを軸にして構成を作れば、記事の精度が高まります。

⑤競合記事をチェックして検索意図の抜け漏れがないか確認する

次に、実際に「海外旅行 初めて」とGoogleで検索して、競合記事をチェックします。競合記事をチェックする目的は、キーワードから推測した検索意図に抜け漏れがあるかどうかを確認するためです。

基本的に、そのキーワードで検索して、上位に表示される記事が、ユーザーの求める内容と判断できます。つまり、競合の記事をチェックすることで、ユーザーの検索意図がわかるというわけです。

上位表示されている10本の記事をチェックすれば大丈夫です。実際に、筆者が「海外旅行 初めて」と検索して競合記事をチェックしてみると、次ような検索意図もあることがわかりました。

競合記事からわかった検索意図を構成に盛り込むと、質の高い記事に仕上がっていきます。

最初に競合記事を見て検索意図を推測する方もいますが、これはおすすめしません。競合記事はいわば検索意図の正解であり、先に答えを見てしまうと、ペルソナの検索意図を推測する力が養われません。また、競合記事をチェックすると内容が引っ張られるので、競合と内容が似通った、独自性のない記事になってしまいがちです。

⑥Q＆Aサイトから検索意図を明らかにする

ここまで「自分でキーワードを分析する」「競合サイトから検索意図の抜け漏れをチェックする」という作業をしてきましたが、ここからさらに一歩、読者に寄り添った構成にしてみましょう。

ここで役立つのが、Q＆Aサイトです。Q＆Aサイトは構成を作るうえで欠かせない宝庫で、GoogleやYahoo!を検索するだけでは知ることのできない、検索意図の深い部分まで分析できます。

構成を作るのにおすすめのQ&Aサイトが「Yahoo!知恵袋」と「教えて!goo」の2つです。2つのサイトに「海外旅行 初めて」とキーワードを入力してみると、次のような質問が出てきました。

これらの質問を見てみると、次のような検索意図もあると推測できますね。

「海外旅行 初めて」と調べる方は、1人での海外旅行を検討している方が多そうだと推測できます。そのため、1人旅にも焦点を当てて記事を書いてみるとよさそうですね。

⑦検索意図に優先順位をつける

ここまで検索意図を洗い出したあとは、これらに優先順位をつけていきます。なぜ優先順位をつけるのが大事かというと、インターネットで検索するユーザーはすぐに答えを求めているからです。

じっくりと答えを知りたいと考えている書籍の読者と、今すぐに答えがほしいGoogleやYahoo!のユーザーで、性質は異なります。

構成を作る際は、ユーザーの知りたい情報から先に構成を作る必要があります。そのためにも、検索意図に優先順位をつける作業が必須です。

優先順位をつけるのに大事なのが「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」の分類です。顕在ニーズとはユーザーが自覚しているニーズ、潜在ニーズはユーザーは自覚していないが根底に抱えているニーズとなっています。

構成は基本「顕在ニーズに応える見出し」→「潜在ニーズに応える見出し」の順番で組みたてていきます。顕在ニーズがユーザーの求める答えであるため、先に顕在ニーズの答えとなる見出しを先に作る必要があるというわけです。

これまで分析してきた検索意図を顕在ニーズ・潜在ニーズにわけると、次のようになります。

「初めての海外旅行でも大丈夫か？」「初めてにぴったりの海外旅行先」は、キーワード「海外旅行 初めて」から直接想起できるので、顕在ニーズだと判断できます。また、初めてにおすすめの海外旅行先に加えて、その国の選ぶポイントもセットにしてあげると、ユーザーに親切ですね。

一方、初めての海外旅行をする方にとって、どのような準備や持ち物が必要か、どれくらい費用がかかるのかわからない方も多いでしょう。当人に自覚はなくとも「海外旅行前に必要な準備・持ち物を知りたい」「海外旅行の費用目安を知りたい」といった意図があると推測できます。

この潜在ニーズまでくみ取ることができれば、質の高い記事に仕上がります。

質の高い記事とは何か？ライターが考える特徴や作り方など

⑧ストーリーを意識して検索意図から構成を組みたてる

検索意図に優先順位をつけたので、いよいよ構成を作れるようになります。ここで意識したいのは、ゴールに至るまでのストーリーです。

Web記事は目次から好きな見出しに飛べるようになっているとはいえ、最初から最後まで記事を読む方もいます。「この記事読んでよかった！」と思わせるには、読者が記事を閲覧してから行動に移せるためのストーリーを組みたてることが重要です。

先述のとおり、「顕在ニーズに応える見出し」→「潜在ニーズに応える見出し」の順番を守りつつ、ストーリーを考えて、筆者が構成を作ってみました。

大枠の構成ができましたが、これではまだ不十分です。なぜなら、SEO上不足している点があるのと、h2の見出ししか作っていないからです。そこで、上記の大枠の構成に対して、以下の2つのポイントを盛り込んでみましょう。

⑨見出しにサジェストキーワードをなるべく盛り込む

記事の見出しに極力キーワードを盛り込んだほうが、検索にも引っかかりやすくなります。上記の構成はサジェストキーワードを意識していなかったので、見出し名に修正の余地があります。

サジェストキーワードを盛り込んでみると、次のような構成になりました。

これで「海外旅行 初めて おすすめ」「海外旅行 初めて 準備」というキーワードで検索されると、この記事がヒットする可能性が高くなります。

⑩h2をh3、h4と細分化していく

これまでの構成には、h2しか作っていませんでした。1つの見出しの文字数目安は200～300文字程度ですが、これまでの構成には、1つの見出しだけでは説明しきれないh2がいくつかあります。

そこで、h3、h4と細分化していき、見やすい構成に仕上げていきます。

h2を細分化する際は、なるべくh3までに留めておくのが無難です。筆者もたまにh3からさらにh4へ細分化する構成を作ることもあるのですが、多層構造になってしまうと、読者に混乱を生みやすい構造となってしまいます。

極力、h2とh3の2つで構成を作れるように意識してみてください。h4まで細分化するような内容が出てきた場合、一度その見出しを切り離してみて、あらためてh2として作るのがポイントです。

ここで、ようやく記事が完成しました。検索意図に対してすぐに答えを出しており、かつ情報も網羅的でストーリーも明快、読者の悩みに答えられる構成になったのではないでしょうか。

ここまで構成の作り方を細かく解説しましたが、最初は構成を作るのに苦労するでしょう。大事なのは、数をこなすことです。何十、何百本と構成を作ることで「この見出しは必須だな」「この見出しの順番がよさそうだな」と直感的にわかるようになってきます。

まとめ：記事の構成は丁寧に作ろう

記事の構成は、執筆よりもむしろ力を入れるべき部分です。記事の骨組みである構成を丁寧に作り上げることで、読者は悩みやわからないことを解決できる、質の高い記事に仕上がります。

ここでは、記事の構成の作り方を1から細かく説明しました。ぜひ参考にしていただき、SEOで効果のある構成を作ってみてください。

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