企業がオウンドメディアを運用するにあたって、もっとも重要なのはコンテンツです。特に、コンテンツマーケティングにおいて、ユーザーからの信頼を獲得するために質の高い記事を書くのは必須といえます。それでは具体的に、どのようにして質の高い記事を書くのでしょうか?
そこでこの記事では、質の高い記事の特徴や作り方、質の低い記事が生まれる要因についてライター目線から分析します。コンバージョンにつなげられる記事を書きたいと考えている企業様は、ぜひ参考にしてください。
「質の高い記事」とは?
前提として、そもそも「質の高い記事」とはどのようなものを指すのでしょうか?人によってさまざまですが、ここでは読者が行動に移すための手助けとして、記事があると考えています。
そのため質の高い記事を「読者が行動に移す記事」と定義します。
たとえば「社会人が勉強するためのメリットは?」という記事を書いた場合、読者がペンをもって勉強を始めれば、質が高いと言えます。逆に、読者が記事を読んで何も行動に移さなければ、質の高い記事とは言えません。
そして企業のWebサイトの場合、読者が移す行動に自社製品を絡めて紹介することで、購入までつなげられます。質の高い記事を書くときは「読者が記事を読んだあと、どのような行動を取るのか?」を意識してみてください。
質の高い記事の特徴
読者が「質の高い」感じる記事には、いくつか共通点があります。そこで、ふだんから企業様のメディアで執筆しているライターとして「質の高い記事」と思う特徴を5つ紹介します。
ほかのWebサイトにはないオリジナルの情報がある
ほかのWebサイトにはないオリジナルの情報があると、質の高い記事と言えます。特に今のWeb上には情報が溢れており、ユーザーは希少価値のある情報を求めているからです。
昔に比べ、今はGoogleやYahoo!で検索すると、たいていユーザーの求める答えを得られます。情報が溢れる現代において、さらに一歩踏み込んだ納得感を読者に与えるには、普遍的な情報だけでは不十分なケースもあります。
今後、情報に埋もれない記事を作るには、オリジナリティを出すのが重要となるでしょう。
記事にオリジナリティを出すには、以下のような方法があります。
- 自社の体験談を書く
- 自社で蓄積したデータやアンケート結果などを記事に利用する
- 取材記事を書く など
上記のような内容のある記事は希少価値が高いので、購入意欲の高いユーザーが好んで読もうとします。自社製品の購入につなげるには「自社だからこそ出せる強みはどこにあるのか?」という点を意識して、記事を書いてみてください。
主張が明確
主張が明確な記事も、質が高いと言えます。なぜなら、GoogleやYahoo!で検索するユーザーは何かしらの答えを探しており、目的に答えが明確に書かれている箇所をすぐに知りたいからです。
たとえば「初デート 服の色」と検索するユーザーがいるとします。このユーザーは初デートに着ていく服の色を悩んでおり、ベストカラーを知りたいと考えられます。上記に対して「赤色も青色も初デートにぴったりなので、最終的にはあなたが選びましょう!」という結論のない記事を書いてはいけません。読者は疑問に対しての答えを得られず、Webで検索した意味がありません。
上記の例では「男性は男らしさを表すためにも、初デートには青色を着ましょう」というように、結論を明確にしましょう。そうすると読者も答えを得られるので、次の行動に移しやすくなります。
理由と根拠が明確
主張に加えて「理由」と「根拠」が明確な記事は、読者に強い納得感を生みます。理由と根拠があってこそ、主張は生きてくるものです。
Web記事のなかには理由のない主張があり、これが読者に「内容の薄い記事」と思わせる原因になっています。たとえば、次のような文章を見てみましょう。
健康のためには、運動が大切です。だから、明日から運動を始めましょう! |
このような文章を見て「よし!明日から運動を始めよう!」とはならないでしょう。なぜなら人は、主張だけされても納得しない生き物だからです。理由と根拠があってこそ、人は初めて主張を受け入れます。
そこで上記の文章に、理由と根拠を付け加えてみましょう。
健康のためには、運動が大切です。(理由)なぜなら軽い運動を習慣化するだけでも、体重の減少や快眠などの効果があり、日々の生活が充実するからです。
(根拠)2019年10月に日本総研が調査した「スポーツの実施による効果に関する調査について」によると、スポーツによる健康状態の変化について、13.1%の人は「体重や健康診断など数値で、具体的な効果が表れた」と回答。具体的な効果が表れていない人を含めても、31%の人が「健康状態が良くなった」と答えており、健康のために運動したほうがいいとわかります。 |
このように理由と根拠があると、読者も「明日から少しでも運動を始めてみようかな」と行動に移す可能性も高くなります。質の高い記事を書くには、主張とセットで「理由」と「根拠」も必要です。
特定の読者にのみ刺さる内容となっている
誰しもが読みやすい記事は質が高いように思えますが、実はそうではありません。万人受けする記事は、得てして自社が狙いたいターゲット層に刺さりにくいのです。
たとえば「パソコンをおすすめする記事」を書くとしましょう。パソコン購入者は、大きくわけると「個人」と「法人」に分類できます。個人と法人では、パソコンを購入するときの考え方が大きく異なります。
属性 | 購入に対する考え方 |
個人 |
|
法人 |
|
仮に個人向けと法人向けのパソコンを混ぜて記事を書けばコンテンツがブレるので、内容が薄いと感じ、そのままブラウザバックしてしまいます。
記事を書くときは、大多数ではなく「特定の誰か」に向けて記事を書いてください。そのためにはペルソナ設定が重要です。ペルソナが明確だからこそ、記事のターゲット層にあった読者が読んだとき、強い納得感が生まれるのです。
読者が視覚的に見やすいように工夫している
記事は、読者が読みやすいようなデザインにすることが重要です。文字だけは伝えきれない情報を画像や動画などで補完している記事は、読者も内容を理解しやすく、質の高い記事だと言えます。
たとえば論文のように文字がびっしりと詰められた記事は、読者も敬遠してしまい、読んでもらえない恐れがあります。文字だけで情報を伝えるのは意外に難しいので、画像や動画なども組み合わせたいところです。
文字以外の工夫 | 使い方 |
画像 | 記事の内容をイメージできるような画像を挿入する |
イラスト | 文字だけで伝えるのが難しい場合は、イラストを使って全体像を説明する |
動画 | 記事の冒頭に動画を挿入すると、視聴してから記事を読んでもらえるので、コンテンツへの理解度が深くなる |
マーカーや太字 | 記事のなかでも特に重要な箇所にマーカーを引いたり太字にしたりすることで、読者も簡単に答えを見つけられる |
特に、文字だけが並べられた箇所は読まれない可能性が高くなります。公開前に記事を確認して、文字ばかりになっている箇所には画像や表などを挿入し、視覚的に見やすいように工夫しましょう。
なぜ「質の低い記事」が生まれるのか?
なぜ、Web上に読者の求める答えがない「質の低い記事」が生まれるのでしょうか?その理由をライター目線から分析します。
ほかのWebサイトをただ真似しているから
今のWebライティングの現状として、ほかのWebサイトの内容をただ模倣しているだけの記事が散見されます。一次情報から得た内容を書くのではなく、ほかのWebサイトの「二次情報」を参考にして書いたいわば「三次情報」で執筆するライターが増えているのです。
国や都道府県、公式企業などが出すオリジナルの情報を「一次情報」と呼びます。ライターはこの一次情報を調べて執筆するのが基本です。しかしWebライティングでは、同じクエリの検索結果にあるほかのメディアの情報(二次情報)から執筆するライターがいます。
実際に筆者も、受注案件で、一次情報ではなく競合サイトだけを参考にして作った記事に出会ったことが何度もあります。
二次情報から執筆するデメリットは「情報が間違っている可能性がある」と「自社サイトならではのオリジナリティを出せない」の2点です。ほかのWebサイトに書かれている情報は間違っていることも多く、また模倣しているだけの記事にオリジナリティは生まれません。三次情報の記事では、ユーザーに刺さらないのです。
ただ、質の高い記事を書こうと思えば、一次情報から執筆するのが基本だと押さえておきたいところです。
自社製品の宣伝ばかりになっているから
質の低い記事が生まれる原因として、自社製品の宣伝が過剰になっているケースがあります。ユーザーの求める答えがなく、宣伝ばかりの記事に読者は満足感を覚えません。
LP(ランディングページ)や広告であれば、自社製品の宣伝に注力するのは問題ありません。「購入意欲の高い顧客」をターゲットとする場合は、自社製品の情報を知りたがっているので、むしろ正しいコンテンツの作り方です。
一方で、検索ユーザーの多くは本質的に自社製品を求めていません。ユーザーはわからないことや不安、悩みなどを解決するために、GoogleやYahoo!で検索しています。つまり自社製品の情報は、言ってしまえば検索ユーザーにとって不要な情報なのです。
それでは、どうやって記事から自社製品の購入につなげるのでしょうか?それは記事によってユーザーを育成して商品・サービスの価値を知ってもらい、信頼を獲得することで自社製品の購入につなげるのです。ユーザーの悩みや不安などを解決した先に、自社製品の購入があります。
そのため、検索クエリごとにユーザーがどの程度の知識レベルがあるかを分析し、商品に関する情報を求めるレベルに応じて宣伝の内容を調整しましょう。なお、顧客がどの程度商品の情報を知りたがっているかは、後述する「カスタマージャーニーマップ」を使って分析します。
そもそもWebサイト設計が不十分だから
記事を書く以前に、Webサイト設計が不十分なケースもあります。ペルソナ設計やキーワード選定が中途半端になっているため、コンテンツもブレてしまうのです。
ライターとして執筆していて意外に多いのが、記事のターゲット(ペルソナ)が不明確なケースです。一口に読者と言っても「個人か法人か」「高年収か低年収か」など、当然属性は細かくわかれます。
企業は新商品を出すとき、マーケティングによってペルソナを明確にし、最適なアプローチで売るのが基本です。しかしWebサイトとなると、設計が不十分なまま「とりあえずWeb上で記事を書けば集客できるだろう」という考えで、ただ闇雲に記事を投稿しているだけの企業Webサイトが多くあります。
サイト設計は、コンテンツマーケティングの根幹となる重要な手順です。そもそもの事前準備が甘い場合は、まずは綿密にWebサイトを設計することから始めましょう。
質の高い記事を作る手順
具体的に質の高い記事を作るには、どうすればよいのでしょうか?その手順は、以下の通りです。
- ペルソナを設定する
- 検索クエリから「検索意図」を分析する
- 競合サイトを分析する
- Webユーザーが読みやすいように執筆する
- アクセスを解析し必要に応じてリライトする
それぞれの手順について詳しく見ていきましょう。
1.ペルソナを設定する
まずは、記事のターゲットとなる「ペルソナ」を設定します。ペルソナとは、ターゲットとなるユーザーの具体的な人物像です。顧客の人物像を設定することで、読者がどのような悩みを抱えており、どのような情報を求めているのかを分析できます。
ペルソナ設定時には、次のような項目を決めていきます。
- 性別
- 年齢
- 職業
- 収入
- 学歴
- 趣味 など
ペルソナを細かく作りすぎる必要はありません。ペルソナはどこまでも細かくできますが、時間とコストがかかるだけなので、基本的な情報を埋められていれば大丈夫です。
またペルソナは、記事の制作時ではなく、Webサイト制作の時点で固めておきます。ペルソナを2~3人程度設定しておき、それぞれの人物に合った記事を自社サイト内に投稿していきます。
ペルソナを設定するには、3~5人程度既存顧客を分析するのがベストです。「自社の理想像」からペルソナを設定すると、この世に存在しない顧客が生まれるのでやめましょう。
既存顧客を分析するには、以下のような方法があります。
- 既存顧客にインタビューする
- 営業担当者にヒアリングする
- Webアンケートを実施する など
このような方法でペルソナを2~3人程度設定してみましょう。
ペルソナ設定後の「カスタマージャーニーマップ」も重要
ペルソナを設定すれば、執筆前に「カスタマージャーニーマップ」も作っておきましょう。カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品を認知してから購入するまでの一連のプロセスです。ペルソナの購買プロセスを明らかにすることで「どの購買プロセスで、どのようなキーワードを検索するのか」という、細かな分析が可能となります。
購買プロセスにはさまざまな考え方があり、なかでも代表的な「AISAS(アイサス)」を紹介します。
- Attention(注意)…何かしらのきっかけで商品・サービスの存在を知る
- Interest(関心)…興味・関心をもつ
- Search(検索)…興味・関心をもって検索する
- Action(購買)…購買に至る
- Share(情報共有)…友達やSNSなどに感想や体験を共有する
上記の5つの顧客フェーズごとに、どのような検索キーワードを調べるのか設定してみます。たとえば、オーダーメイド枕の専門店が「Attention(注意)」の顧客フェーズに対して「首 痛い」というキーワードで記事を作れば、首の痛みを解決する手段としてオーダーメイド枕を認知してもらうことにつながります。
2.検索クエリから「検索意図」を分析する
次に、ペルソナが検索しそうな「検索クエリ」を洗い出し、記事を執筆します。検索クエリとは、GoogleやYahoo!などでユーザーが入力する語句です。
質の高い記事を書く前に、執筆前に必ず検索クエリの「検索意図」を分析してください。検索意図とは、ユーザーがGoogleやYahoo!などで検索するとき、その裏側にある目的を指します。この検索意図は、検索クエリによって以下の4つに分類できます。
検索意図 | 意味 | 例 |
Knowクエリ | 情報収集したい |
|
Doクエリ | 何か行動を起こしたい |
|
Buyクエリ | 何かを買いたい(Doクエリのなかに含まれる) |
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Goクエリ | 目標サイトを検索したい(別名「指名検索」) |
|
たとえば、Knowクエリの「サブスク 意味」には、以下のような検索意図があると分析できます。
- サブスク(サブスクリプション)の意味を知りたい
- 友人や職場の人から「サブスクはいいよ」と聞いており、サブスクにどのような魅力があるのか気になっている
- サブスクにどのようなサービスがあるのか知りたい
検索クエリごとに検索意図を分析し、読者の検索意図に対して最適な答えを返すコンテンツ作りを意識しましょう。
3.競合サイトを分析する
記事を執筆するとき、実際に同じ検索クエリで検索し、競合サイトを分析しましょう。具体的には、検索結果で最上部の広告を除いた「1ページ目で表示されるサイト」を見ます。
競合サイトを見るときは、以下のような視点から分析してみてください。
分析内容 | 補足 |
共通して書かれている内容を分析する | 検索意図に対する答えであり、記事に必須の内容である可能性が高い |
競合サイトでは汲み取れていない検索意図を分析する | ほかのサイトで求める情報を得られなかったユーザーが、自社の記事に流入する可能性がある |
競合サイトごとにターゲットを分析する | たとえば検索結果に「個人向け」の記事のみの場合「法人向け」に記事を作成することで競合サイトとの差別化になる |
なお、競合サイトを分析するときは「シークレットモード」にしてから検索してください。通常通り検索すると、個人のパーソナリティに応じて検索順位が変動するため、正確に競合分析できないためです。
4.Webユーザーが読みやすいように執筆する
競合サイトを分析したあとは、いよいよ執筆です。情報の価値が高くても、読者に文章でしっかり伝えられなければ、宝の持ち腐れとなってしまいます。
Web記事には「ユーザーは、すべての文章を見るのではなく読み飛ばす」という特徴があるため、以下のようなポイントを押さえて書いてみてください。
- 結論を先に伝える
- 1つの文章はなるべく短くする(目安は60~80文字まで)
- 1つの文は、1つの意味だけにする
- 適宜改行して読みやすくする
- 箇条書きや表、画像などを使って見やすくする
検索ユーザーはすぐに答えを求める傾向にあるため、上記の「結論を先に伝える」は特に重要です。結論先行で文章を書くために、Webライティングでは「PREP法」が重視されています。
PREP法とは、以下のような順番で文章を書くやり方です。
- Point(結論)…冒頭で結論を伝える
- Reason(理由)…結論の理由を説明する
- Example(例示)…例え話やデータなどを用いて、結論の説得力を強める
- Point(結論)…結論を再提示する
PREP法によって簡単に説得力のある文章を作れるので、ぜひ実践してみてください。
5.アクセスを解析し必要に応じてリライトする
書いたあとに何度も書き直し(リライト)できるのが、Web記事の強みです。公開した記事をそのまま放置するのではなく、定期的にアクセスを解析してリライトしましょう。
たとえば直帰率(1ページ目でユーザーが離脱した割合)が高いのであれば、ユーザーの求める情報が記事にない可能性もあります。この場合、検索意図に応えられるコンテンツになっていないため、ユーザーが離脱している可能性があります。そこであらためて記事の内容を見直し、充足できていない内容を修正・追記する改善策も考えられるのです。
なお、アクセスを解析するには、Googleが無償で提供している「Googleアナリティクス」と「Google Search Console」が必須です。
また、有料となりますが「ヒートマップ」も導入すると、ユーザーがどこでクリックやタップしているかがわかります。「どの部分が読まれて、どこが読まれていないのか」がわかるので、より緻密に記事を分析したい場合はぜひ導入してみてください。
まとめ:質の高い記事とは読者が行動に移すもの
質の高い記事とは、最終的に読者が行動に移すものだと冒頭でもお伝えしました。そのためには「特定の誰か」に対して訴求し、強い納得感を生むことが不可欠です。
質の高い記事を書くには、ペルソナ設計~公開後の効果測定まで、読者に軸を置いた一体的な執筆が大切です。ぜひこの記事を参考にして、質の高い記事を執筆してみてください。
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