コンテンツSEOに取り組む企業のなかには、発注費を抑えるために、直接Webライターへ記事執筆を依頼しようと考えている担当者様もいるでしょう。発注額を決めるときに参考にしたいのは、Webライターの相場です。
この記事では、Webライターの発注相場やコストを抑える方法、報酬に関する注意点などを紹介します。Webライターへ直接記事執筆を依頼しようと考えている企業様は、ぜひ参考にしてください。
Webライターへの報酬形態
Webライターへ記事の執筆を依頼する場合、その報酬形態は以下の3つです。
- 文字単価
- 記事単価
- 時給(委任契約/雇用)
それぞれの概要を解説します。
文字単価
Webライターへの発注で一番多いのは「文字単価」です。1文字〇円というように、執筆文字数によって報酬が決まります。たとえば、1文字2円で5,000文字の記事執筆を依頼すれば、発注金額は10,000円です。
メリットは、Webライティングでは文字単価で考えるのが一般的なため、受注者が応募しやすい点です。Webライターを募集する際は、まず文字単価を検討してみてください。
デメリットとして、文字数によって報酬が決定するので、請求時に発注側とライター側の双方に文字数をカウントする手間がかかります。
記事単価
1本〇〇円というように、1本あたりの原稿料を固定するのが「記事単価」です。Webライティングでは、記事単価を採用している企業もあります。
記事単価のメリットは、報酬の計算方法が楽な点です。文字単価のように記事の文字数を計算する必要がないため、発注側とWebライター側の双方の手間を軽減できます。デメリットは、記事単価の場合文字数がある程度固定されるために、修正で大幅な追記を依頼することが難しい点です。
たとえば1本5,000文字の原稿を10,000円で発注したとします。発注側は原稿の内容が不足していると感じ、追加で3,000文字の追記をお願いしたいとしましょう。Webライター側からしてみれば「5,000文字=10,000円」で受注しているので、3,000文字の追記は契約外となるのです。
SEOにおいて、キーワードごとに記事に必要な文字数は異なってきます。そのため記事単価制では、発注側がキーワードごとに必要な文字数を、論理的に計算する必要があります。
時給(準委任契約/雇用)
時給でライターに執筆を依頼する方法もあります。時給の発注方法は「準委任契約」と「雇用」の2つです。
民法643条で、委任契約は「当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。」と定められています。ただし、Webライティングは「法律行為」に該当しないので、民法656条の「準委任契約」が適用されます。
雇用のようにWebライターを一定時間拘束して、その間に執筆してもらうのが準委任契約です。1時間〇〇円、というように時給で契約するのが準委任契約となっています。請負契約に比べて、自社の細かな指示のもとに執筆を依頼できるのが準委任契約のメリットとなっています。
デメリットは、請負契約と異なり準委任契約は”成果物の有無に関わらず”報酬を支払う必要がある点です。極端な話、Webライターから原稿が1本も納品されなくても、勤務時間に対して報酬を支払う必要があります。そのため準委任契約では、Webライターに目標を設定することが重要です。
また準委任契約ではなく、Webライターを雇用する方法もあります。最近では、アルバイト・パートでWebライターを雇用する企業も増えています。
Webライターの外注費用の相場
Webライターへ記事の執筆を依頼する場合、発注先は主に「クラウドソーシング」と「求人サイト」の2つがあります。それぞれの発注先の相場を見ていきましょう。
なおここでは、Webライティングの相場を図る指標として、一般的な「文字単価」で金額を記載します。
クラウドソーシング
クラウドソーシングとは、発注者とクリエイターをつなぐ仲介サービスです。クラウドソーシング会社には「クラウドワークス」や「ランサーズ」などがあります。
クラウドソーシングの発注相場は、文字単価0.3~5円程度です。発注内容によって報酬は大きく異なります。一般的に、作業内容が増えたり専門性が高くなったりするほど、相場は高くなっていきます。
実際に、ランサーズで「記事作成・ブログ作成・体験談」の募集案件を見てみると、文字単価は次のような分類となっていました※。
以下の計算方法で算出すると、ランサーズの報酬の平均は文字単価約1.1円でした。
1.ランサーズで検索した単価を、以下の文字単価に換算する
- 文字単価~0.9円⇒文字単価0.4円(文字単価0.1円台での平均値が0.4円)
- 文字単価1~1.9円⇒文字単価1円
- 文字単価2~2.9円⇒文字単価2円
- 文字単価3~3.9円⇒文字単価3円
- 文字単価5円~⇒文字単価5円
2.平均を算出する
(文字単価0.4円×91+文字単価1円×86+文字単価2円×13+文字単価3円×11+文字単価5円×10)÷211=1.096…≒1.1円
※2022年4月10日時点
求人サイト
求人サイトでも、Webライターへ記事執筆を依頼できます。ライターへの応募が活発な「インディード」での相場は、文字単価1~3円程度です。
またインディードにおける、Webライターへの報酬の平均は文字単価約1.8円でした※。クラウドソーシングに比べると、求人サイトのほうが平均報酬はやや高くなっています。
※2022年4月21日時点でインディードで「ライター」および「業務委託」で検索し、全306件の募集のうち、文字単価に換算できる26件の案件から平均値を算出(小数点第2位を四捨五入)。また「文字単価2~4円」のような募集は、中央値の「文字単価3円」で計算。
発注単価ごとのWebライターのレベル
質の高い記事を作成するには、優秀なWebライターを見つけることが不可欠です。そして、Webライターのレベルは、おおむね文字単価で決まります。
そこで上記の発注相場に加え、SEOライティングにおける文字単価ごとのWebライターのレベルを、同じくWebライターの筆者目線で紹介します。
文字単価1円未満
文字単価1円未満は、ライターになって3か月未満の未経験者レベルです。筆者の体感として、未経験ライターが最初の登竜門として挑戦するのが、文字単価1円未満です。
文字単価1円未満のライターは、SEOを理解しておらず、また基本的な文章の書き方すらわかっていないことが多々あります。そのため文字単価1円未満で発注する場合は「文章の書き方」「SEOとは何か」など基本的なマニュアルを整備し、ライターに共有することが不可欠です。
逆に、SEOを理解していない企業が文字単価1円未満で発注しても、高確率で失敗するのでやめておきましょう。
文字単価1~2円未満
先述の発注相場からもわかるように、一番ボリュームゾーンが大きいのは文字単価1円~2円未満です。筆者の体感として、経験5か月~2年未満のライターが執筆するレベルです。SEOへの理解があり、基本的な文章力を身につけています。
構成作成やCMS入稿などの編集業務は自社で行う場合、ライターへの依頼は執筆だけになるので、文字単価1~2円未満は一番コスパがいいと言えます。
ただし文字単価1~2円未満では、優秀なライターが受注する可能性は低くなるのが難点です。なかには、初心者を脱したばかりのライターもいるので、時にはそういった方へのフォローも必要となります。
文字単価2~3円未満
文字2~3円未満のWebライターは、SEOへの理解があり、人に理解される文章を執筆できます。SEOに力を入れている企業は、文字単価2円~発注している印象です。
筆者の体感として、文字単価2~3円は中級~上級レベルです。優秀なライターも、文字単価2円以上から記事を執筆していることが多くなっています。そのため、コンテンツSEOで成果を出したい企業は、文字単価2円以上で依頼してみてください。
文字単価3~5円未満
文字単価3~5円未満の場合、優秀なWebライターが多くいます。筆者の体感として、優秀なWebライターの多くは、文字単価3円~報酬を設定しています。文字単価3円~Webライターを募集すれば、優秀なライターに十分アプローチ可能です。
また、専門性が高いWebライターに依頼する場合、報酬は文字単価3円以上で設定しましょう。金融や医療、法律のような専門性の高い記事を正しく書けるライターは限られるからです。
逆に金融や法律、医療などの専門性の高い記事は、内容を間違えると読者の人生に悪影響を及ぼす可能性もあるため、低単価で発注するのはおすすめしません。
文字単価5~10円未満
文字単価5円以上となると、専門性の高い記事執筆を、その分野に詳しいハイレベルなWebライターに依頼できます。特に金融や医療、法律など専門性の高い分野で、業界で勤務した経験のある専業Webライターが、文字単価5円~記事執筆を請けている印象です。
業界内にいたからこその知見を活かし、正しい出典から情報収集して執筆できるため、ハイクオリティな記事を期待できます。業界内でトップを走るようなWebサイトを運用している場合は、文字単価5円以上で請けているWebライターに依頼するのがおすすめです。
文字単価10円~
文字単価10円~となると、インフルエンサーや著名人など、SNS上で多数のフォロワーを抱えている人物に依頼する金額です。一番大きなボリュームゾーンである文字単価1~2円に比べると10倍以上の費用となりますが、著名人は多数のフォロワーを抱えているため、記事を共有してもらうと多くのユーザーからのアクセスを期待できます。
また、著名人に自社サイトを紹介してもらうと、ブランディング効果を期待できます。著名人が自社サイトで執筆すると、フォロワーからの信頼が高まるからです。長期的なWebサイト設計を考えたとき、文字単価10円~著名人に依頼するのは効果的な方法と言えます。
なお取材記事も、文字単価10円~が相場です。取材記事は、取材先との交渉や事前調査、当日のインタビューなどで時間を要します。そのため時給換算すると、文字単価10円~が妥当な金額となるのです。
Webライターへの発注コストを抑える方法
Webライターへの発注コストを抑えることで、より多くのコンテンツを投稿でき、Webサイトから利益を生みやすくなります。それでは、Webライターへの発注費を抑えるため、具体的にどのような方法があるのでしょうか?
Webライターへの発注コストを抑える方法について、3つ紹介します。
自社で編集までする(記事執筆のみを発注)
自社の人材で編集業務を行い、記事執筆のみを外部のWebライターに依頼すれば発注コストを抑えられます。記事執筆のみだとWebライターの作業範囲が少なくなるので、その分原稿料を抑えられるからです。
記事執筆のみを外注してコストを抑えるには、自社で以下のような業務を担当してみましょう。
- キーワードを選定する
- 構成(記事の全体像)を作る
- CMSへ入稿する
これらの業務を社内でできると、ライターは執筆だけになります。Webライターの作業量が減ればその分コストを抑えられるので、多くのコンテンツを投稿したい場合は、ぜひ自社で編集業務を担当しましょう。
クラウドソーシングを活用する
クラウドソーシングは、コストを抑えて発注するには便利なサービスです。クラウドソーシングの特徴として、報酬が安い傾向にあります。
実際に、クラウドソーシングの発注側の多くは「発注コストを抑えたい」という目的で利用しています。クラウドソーシングは直接クリエイターに発注できるので、発注コストを抑えられるのです。
自社に編集業務のノウハウがあれば、クラウドソーシングはコストを抑えたい発注側の強い味方となります。
SNSを活用する
SNSを活用することで、発注コストを抑える方法もあります。SNSは無料で利用でき、かつクリエイターも活発に活動しています。特に、TwitterとFacebookはWebライターがよく使うSNSなので、発注側もうまく活用したいところです。
クラウドソーシングには、契約ごとに手数料が発生します。たとえば、クラウドソーシング大手の「ランサーズ」は、契約金額に対して最大20%の手数料を設定しています。
クリエイターが15,000円(税抜)の報酬を受け取ろうと思えば、手数料率は20%なので、発注側は18,750円(税抜)で発注する必要があるのです。手数料で3,750円(税抜)を支払うので、発注側にとって大きなコストとなります。
一方SNSでは、当然クリエイター間のやり取りに手数料は発生しません。実際にTwitterでは「#ライター募集」というタグをつけたライター募集が、活発に投稿されています。
【ライター募集】
BtoBのメディアで「BCP」に関する記事を書ける方を募集します。【文字数】
5,000文字程度【報酬】
1本10,000円(税抜)【範囲】
構成+執筆以下を記載してDMでご応募ください。ご応募お待ちしております!
・簡単な経歴
・最終学歴
・ポートフォリオ#ライター募集 pic.twitter.com/kElgJyNMQa— 小川 遼@Webライター (@ogaryo_blog) March 29, 2022
手数料をかけずにWebライターへ発注したい場合は、ぜひSNSを活用してみてください。
報酬を抑えるほど成果は出しにくくなる
多くの発注者が勘違いしているのですが「Webライターへの発注費を抑える=成果は出にくい」点は理解しておく必要があります。
「お金を出すほどよい材料を手に入れられる」のはビジネスの基本です。飲食店も、高級料理をお客様に提供しようと思えば、原価の高い食材を調達する必要があります。
これはWebライターでも同じです。報酬を抑えるほど、優秀なWebライターは集まらず、成果を出しにくくなります。発注費を抑えるほど成果を出しにくくなる原因について、3つの視点から解説します。
優秀なWebライターは低単価で請けていない
前提として、優秀なWebライターは低単価で仕事を請けていません。これは当然の話で、質の高い記事を執筆するWebライターは、高単価でも仕事を受注できるからです。
文字単価2円未満では、優秀なWebライターへ発注するのは困難です。文字単価2円未満だと、初級レベルのWebライターが多くいます。優秀なライターへ発注したければ、最低でも文字単価2円以上で発注したいところです。
コンテンツの質はSEOの根幹
コンテンツの質は今のSEOの根幹であり、Webライターの腕に大きく左右されます。基本的にWebライターへの報酬を下げると、それに比例して原稿の質は落ちていきます。
質の低い記事を書いて検索上位に表示されなければ、結果コスト損になってしまうのです。先述の通り、質の高い記事を書ける優秀なWebライターほど、高単価で受注しています。逆に言えば、成果を出せないWebライターが、低単価で仕事を受注しているのです。
SEOにおいて、目先のコスト削減ばかりに注視し、読者の検索意図を解決しないコンテンツを量産しては意味がありません。もちろんコストを削減する考え方も大切ですが、コンテンツの質とのバランスも考えながら、報酬を決める必要があります。
社内の手間が増える
何度も申し上げているように、報酬を抑えるほど、初級レベルのWebライターが増えます。初級レベルのWebライターへ依頼すると、自社の手間が増えてしまうのは大きなデメリットです。
具体的に、初級レベルのWebライターに発注すると、以下のようなコストが想定されます。
- 誤字脱字や事実の間違いが多いので、自社でチェックする手間が増える
- 本来、Webライターが考えるべき部分まで頻繁に質問されるので、コミュニケーションコストがかかる
- 自社の求めるレベルの原稿が納品されないので、チェック&修正依頼回数が増える
Webライターは手軽に始めやすい副業の1つであることから、ビジネス力の高くない方まで参入しているのが現状です。そして発注コストを下げるほど、初級者にしか依頼できなくなることがあります。
金銭面以外の社内コストが増えてしまうと、報酬を抑えたとしても、人件費を考慮すると結果損してしまうこともあります。Webライターへの報酬を抑えると潜在的なコストが発生する点は、ぜひ理解しておいてください。
まとめ:Webライターの実力と報酬は比例する
Webライター発注費の相場を見ると、おおよそ1~3円程度です。案件の内容によるものの、まずはこのあたりから報酬を決めてみるとよいでしょう。
ただし優秀なWebライターのほとんどは、文字単価2円未満で請けていないのが現状です。コスト増となるとWebサイトから利益を出しにくくなるものの、コンテンツの質を高めるには相応の報酬を支払う必要があります。
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